こんにちは。PuddleDesignです。
先日、名古屋市で紙加工を行う
株式会社丸義モリカワ(通称名称:株式会社モリカワ)に見学に行ってきました。
創業100年の歴史ある企業さんで、紙加工の高い技術力とオリジナルボードゲーム制作の「BGM盤上遊戯製作所」やペーパーアクセサリーブランド「Layered:レイヤード」を立ち上げるなど、独自の商品開発にも取り組まれています。
会社は名古屋駅から徒歩20分程の場所にあり、到着するなり早速工場内を見学させていただくことに!
※記事最上部のアイキャッチ画像は、モリカワさんより頂いた会社案内と用紙サンプルブックです。
合紙加工の見学
まずは合紙加工の現場から。合紙加工とは、紙と紙を1枚づつ糊で貼り合わせる加工で、厚みのある丈夫な紙を作るだけでなく、通常は厚くて印刷できない紙にも印刷できたり、表と裏で質感の違う紙にすることも可能です。よくパッケージなんかに使われていますが、愛知県内でこの合紙加工ができる会社は少ないのだとか。
どのように加工しているかというと・・・
まず、紙を専用機械に通してローラーで紙全体に糊を塗り、そのままコンベアがノンストップで紙を流していきます。流れてきた紙にもう一枚の紙を手で貼り合わせるといった感じでした。数人で行われるようで、この方法で1,000枚、2,000枚とかなりの枚数を貼り合わせていけるのだとか!
貼り合わせた紙はプレス機で何枚もまとめて専用の機械で圧着。表面も綺麗に仕上あがり、断裁・角丸加工・スジ入れなどの工程へと続きます。
実際にスジ入れ作業を見せて頂きましたが、熟練の職人さんが、紙を一枚ずつ、専用機械で“ガッチャン! ガッチャン!”とテンポ良く2本の折り線を付けていく。紙にはスジ入れの印は無く、ガイドに合わせてガチャン!と一発勝負。流石です!
個人的に職人さんの作業を見るのが好きで写真を撮らせていただきましたが、この時作業中の職人さんがわざわざ手を止め撮影に協力してくれました!とても感謝です!
工場内には、比較的大きな加工機械がたくさん並んでいましたが、その中に気になる小型機械が・・・
ネーミングがいい感じの「きりっ子」。これは、面付けされた名刺を一気にカットできる優れもの。名刺の断裁も1辺ごとにカットするのだと思ってましたが、こんな便利な機械があるなんて!
デザインしていると欲しくなりそうな機械・・・新しい発見です!
流れる様にスムーズな職人さんの連携作業
次に見せて頂いた現場では、ちょうど4人の職人さんが大量に合紙加工をしている最中。良いタイミングでした!
一人の方が紙を機械に通し、別の2人が糊付けされて出てきた紙と別の紙を貼り合わせていく。それをそのままコンベアで流し、圧着した後もう一人の職人さんが整頓していく。次々に合紙加工された紙が積み重なり、山がいくつも出来ていました。すべてがコンベアの上でノンストップで流れる様に行われる作業に、僕はただただ見入ってました・・・
愛知県でも珍しいエンボス加工技術
モリカワさんの強みの一つにエンボス加工がありました。
商品パッケージなんかでよく見かける表面に凹凸の模様がある紙ですが、愛知県内でもこの特殊な加工をしているのは2,3社ほどだとか!
どのように加工しているかというと・・・
模様が刻印された横長のローラーで紙をプレスして模様を浮き上がらせていく仕組み。結構なスピードでプレスしているようで技術力を感じました。実作業は見れませんでしたが、モリカワさんのHPで動画を見ることができます。ご興味のある方は一度ご覧になってみてください!
↓↓↓こちらの盤上遊戯製作所のHPからエンボス加工の動画がご覧になれます!↓↓↓
BGM_盤上遊戯製作所_製造の様子 (boardgamemill.jp)
加工された紙には高級感が演出され、紙とは思えない質感はエンボス加工ならでは。
需要的に、お菓子の箱やノベルティなどのご依頼が多いようで、特にバレンタインなどの時期は注文が多くなるとのことでした。
名刺や会社案内などに加工したら一味違うデザインになって面白そうですね。
ローラー交換作業
メーカーロゴがレトロな雰囲気で、個人的にカッコいいなと思うエンボス加工機ですが、模様が刻印されたローラーはかなりの重量があるようです。
たまたまローラー交換の作業を見ることが出来たのですが、クレーンを使って2人がかりで行う大変そうな作業で、「簡単に模様を変えれないので・・・」とおっしゃっていたのも頷けます。また、故障時はこの機械を製造する専門業者でなければ修理できなかったりで、エンボス加工の技術を維持するための企業努力を垣間見た気がします。
型抜き加工
型抜き加工は、紙を様々な形に自由にカットできる加工で、写真にあるようなギザギザの円や星型など自由自在。実際の専用機械を見たのは初めてでした。仕事ではなかなか型抜きデザインに携わることはありませんが「何か作ってみたい!」と思わせるワクワクする技術です。
板に固定された刃が青いゴム版(写真)で覆われている仕組みの木型。これを機械にセットしそのまま強い力でプレスするとゴム版に隠れていた刃が出て、ズドンと1発で紙を型抜きできる仕様。青いゴム版があるため、カットした後、刃に紙がくっつかずに済むとのことです。
この加工で様々な形にカット可能で、パッケージやノベルティなど複雑な形を作る際にも用いられています。複雑な形でも切断面が綺麗に仕上がっていました。
また、製品ごとに木型を作っており、棚にはたくさんの木型が並んでいて個人的にちょっとワクワクしました。
オリジナルボードゲーム製作
ボードゲームレーベルを立上げ、製品タイトルには「テバトリ」「ボードゲーム工場」「かばんにいっぱい」「CN2050 〜脱炭素ボードゲーム〜」といくつもあり、ボードゲームの企画から製作しているモリカワさん。紙加工の技術がしっかりとボードゲーム製作に活かされているように感じました。
他にも様々なアナログゲーム製品に携わっており、BGMのサイトからも豊富な経験と実績がうかがえました。
ボードゲーム製作には、モリカワさんの紙加工の技術がふんだんに盛り込まれており、綺麗にカットされたボードの断面や丁寧な作り、ゲームを演出する魅力的なイラストなどに、こだわりと熱意を感じました。
このところ、ボードゲーム・カードゲームの市場規模は徐々に広がりを見せているようで、最近ではトレーディングカードゲームが話題になってましたね。
グラフィックデザイナーとしても何かしら作れたら面白いのですが・・・
まとめ
モリカワさんで行われている合紙加工やエンボス加工は、思った以上に手作業が多い印象でした。だからこそ、職人さんの手の感覚によるモノづくりが、他ではできない仕事を可能にしており、注文が多く寄せられる秘訣なのかもしれないと感じました。
近年、広告などのデザイン需要はWEBやSNSなどデジタル中心となる中、改めて紙の面白さと魅力、そして可能性を肌で感じることができた見学でした。
今後、PuddleDesignでもこういった特殊な紙加工のデザイン提案もできたら面白いなと思いました。
最後に、今回、見学とブログ掲載のお願いを快く受けて頂いた株式会社モリカワさんには大変お世話になりました。
お忙しいなか、本当にありがとうございました!
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